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トランプ減税案、米上院に続き下院も通過 「ドル安懸念が拡大」
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Nathan O’Leary
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Nathan O’Leary is the backbone of The Economy’s editorial team, bringing a wealth of experience in financial and business journalism. A former Wall Street analyst turned investigative reporter, Nathan has a knack for breaking down complex economic trends into compelling narratives. With his meticulous eye for detail and relentless pursuit of accuracy, he ensures the publication maintains its credibility in an era of misinformation.

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ドナルド・トランプ米大統領が主導する「一つの大きくて美しい法案」が可決
トランプ1期の減税を恒久化、メディケイド縮小
電気自動車・太陽光に直撃、財政赤字への懸念も
マイク・ジョンソン米下院議長(中央)は3日(現地時間)、「大きくて美しい一つの法案(OBBBA)」が下院で再可決された後、署名している/写真=マイク・ジョンソン下院議長X

ドナルド・トランプ米国大統領の第2期政権の政策課題を盛り込んだ、いわゆる「大きくて美しい一つの法案(One Big Beautiful Bill Act・OBBBA)」が、米連邦議会の最終関門を通過した。上下両院を通過したこの法案は、トランプ大統領の主要公約の大半を反映したものであり、大統領の署名後、正式に施行される予定だ。

減税・歳出削減パッケージ、下院で僅差で通過

3日(以下現地時間)、下院は本会議で上院で修正された内容を反映し、OBBBAを賛成218票、反対214票で通過させた。共和党議員220人中、トーマス・マッシー議員(ケンタッキー)とブライアン・フィッツパトリック(ペンシルベニア)議員が反対票を投じ、民主党(212人)に加勢した。トランプ大統領は4日午後5時、ホワイトハウスで署名式を行う予定である。

下院での通過過程は容易ではなかった。共和党内の財政タカ派である「フリーダム・コーカス」所属の議員らは、債務が大幅に増加する点、メディケイド(低所得者向け医療保険)の削減幅が小さい点などに不満を示した。一方、穏健派議員らはメディケイド削減が住民に与える影響を懸念した。下院規則委員会が法案を本会議に上程して採決する「ルール(rule)」を作るだけでも、1日夜から2日未明まで12時間以上かかり、規則委員会内での採決も賛成7票、反対6票で辛うじて可決された。

このルールを本会議で採決する過程はさらに困難だった。「手続き採決」と呼ばれるこの投票は、2日夜に始まった際、民主党議員全員が反対し、共和党内からも5人が反対、8人は投票を行わずに抵抗した。しかし、この日未明3時30分ごろ、手続き採決が賛成219票、反対213票で可決されるまで、6時間にわたる投票進行中、トランプ大統領とマイク・ジョンソン下院議長など共和党指導部が反対派の説得に尽力した。その後、討論が始まり、民主党のハキーム・ジェフリーズ(ニューヨーク)院内総務が野党代表として法案への反対演説を行い、最終投票はさらに遅延した。8時間45分にわたり演説したジェフリーズ院内総務は、2022年のケビン・マッカーシー前院内総務(共和党)の演説記録(8時間32分)を更新した。

ドナルド・トランプ米国大統領/写真=マイク・ジョンソン下院議長X

マスク「トランプ減税案、政治的自殺行為」

OBBBAは、税金を大幅に減免する代わりに福祉支出を削減し、国防および移民取締予算を拡大するのが骨子である。特に、トランプ大統領が2017年に施行した減税法を延長し、チップや残業手当への税控除などを新設し、企業および高所得層に有利な税制優遇を提供する。一方、低所得層向けのメディケイドと食料品支援予算は、9,300億ドル削減される予定である。ジョー・バイデン前大統領時代に導入された環境配慮型インセンティブの多くも廃止される。

再生可能エネルギー支援も縮小される。最終案では一部の強硬条項が削除されたが、トランプ政権が今後、再生可能エネルギー支援から徐々に手を引く方針を示唆した。電気自動車の税額控除は、9月30日をもって廃止される予定である。加えて、法案には5兆ドル規模の国家債務上限引き上げも含まれており、今後、米国の国家債務が40兆ドルを超える可能性が高まった。市場では、これにより今後10年間で4兆ドルに達する追加債務が発生すると分析している。

イーロン・マスク テスラ最高経営責任者(CEO)は、今回の法案について「莫大なコスト爆弾」と公然と非難し、トランプ大統領と対立している。彼は自身のX(旧Twitter)で「米国で数百万の雇用を破壊し、我が国に甚大な戦略的被害をもたらす」「完全に狂っていて破壊的だ。政治的自殺行為だ」と再び批判した。

それだけでなく、法案賛成者を痛烈に批判し、新党設立のカードまで取り出した。マスクCEOは「選挙期間中には政府支出を減らせと言っておきながら、突然、史上最大幅の財政赤字増加に賛成するすべての議員は恥を知るべきだ」と与党・共和党を直撃した。その上で、「狂気じみた減税案が通過したら、翌日に『アメリカ党(America Party)』を設立する」と強調した。

ドル、50年ぶりの最悪状況

経済学者たちもドル安に対する懸念を連日表明している。米ドルの価値は、今年上半期(1~6月)に50年ぶりの最大下落幅を記録した。ブルームバーグによると、主要6通貨に対するドル価値を示すドル指数は先月30日、96.89で取引を終え、昨年最後の取引日(108.49)より10.7%以上下落した。上半期基準でドル価値がこれほど下がったのは、ドルを金と交換するブレトンウッズ体制が終了した1973年上半期(-14.8%)以来、50年ぶりのことだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「ドルが1973年以来、最悪のスタートを切った」と報じた。

トランプ大統領就任前までは、貿易戦争により米国外が打撃を受け、米国への投資が集中することでドル高が予想されていた。しかし、トランプ政権下での不安定な関税政策、大規模な減税政策が推進される中、最高の安全資産とされていた米ドルへの信頼に亀裂が入り始めた。

特に、今後10年間で莫大な財政赤字を招く大規模減税案が通過し、ドル安現象はさらに加速している。米国の債務負担が増えれば、その分ドルへの信頼も低下する。このため、3日には台湾の外国為替市場で米ドルを売り、台湾ドルを買う投資家が殺到し、台湾ドルの価値が一時2.5%急騰した。INGの外国為替ストラテジスト、フランチェスコ・ペツォレはフィナンシャル・タイムズ(FT)に「ドルがトランプ第2期の気まぐれな政策の犠牲になった」と分析した。

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Nathan O’Leary is the backbone of The Economy’s editorial team, bringing a wealth of experience in financial and business journalism. A former Wall Street analyst turned investigative reporter, Nathan has a knack for breaking down complex economic trends into compelling narratives. With his meticulous eye for detail and relentless pursuit of accuracy, he ensures the publication maintains its credibility in an era of misinformation.